2015/08/30

てげ場所をゆく -ひむか骨董市・九州民俗仮面美術館-

古道具欲だけが延岡に来てからなかなか満たされてません。しかし、満たそうとすると家が古い物で溢れ返ってしまうので結果的には今ぐらいの距離(古い物との)がベストなのかも。とはいえ、宮崎県内で「骨董市」「蚤の市」「ガラクタ市」等名前がつくイベントには精力的に出向いている。それは思わぬ出会いがあったりするからで、正直まだまだ宮崎、古゜テンシャル(古い物のポテンシャル)あり。しかし、いらいらするほど情報が少ない。ネットでもまったく出てこない...。今回向かった骨董市も新聞(県北民こころの新聞「夕刊デイリー」ってのがある)で発見したぐらい。つまり若者が発信、もしくは主催していないんだと思う。広く拡散するツールとしてはインターネットほど優れたものはないと思うが、わざわざ広告費を使って、しかも若者が読まない新聞広告に出すとは...。でも骨董の心は世代を超える!!年配者と戯れてこよう。

日曜日朝、7時半に家を出る。高速でびゅいーーーんと西都まで。ほどなくして会場に到着。骨董は朝が命!!だと思っていたけどまだ出店者もまばら。相変わらずゆったりしとるなぁ...。店は15ほど、でも結構気合の入った店が多くじっくり見る。店の人は「あ、この前宮崎市で見た人」や「あ、前油津で店出してた人」等さすが狭い宮崎、見た人がちらほら。

2店で4つほど購入。大判の染め布、はぎれ、壁掛け帳簿、銅のスプーン等、結構満足な収穫。また来よう。ちなみに、骨董好きの若い宮崎県民の方に少し情報を...。

●九州骨董祭り(@霧島・溝辺体育館):9/12.13・11/21.22
●日南骨董市(@油津・赤レンガ館):10/17.18・12/19.20
●ひむか骨董なんでも市(@宮崎市・㈱山崎 宮崎支店P内):10/24.25・12/26.27
 
以上の日程で開催されますが、出店者はおそらく似通ってるのでどれか一つに決めて行ってもいいかもですね。取り扱いは古布、器、民具、刀、掛け軸、軍などオールジャンル。
こんな感じ。人めっちゃ少ない。
 その後、せっかく宮崎市まで南下してきたし時間もまだ10時ってことでかねてより行きたかった場所に。その名も「九州民俗仮面美術館」。下道をぐんぐん走る。途中、巨大埴輪と少しだけアンニュイな立て看板があったのでパシャリ。
伊藤マンショさんの顔が何とも形容しがたい...
 しばらく走ると田舎道になり、看板が見えます。そこから本当にけもの道のような道(車の轍があり、周りは草が生い茂っている)を走るとほどなくして美術館が見えてきます。というか、自宅...?
 外観。長くそこに居座っている、という感じの風貌。残暑の湿った匂い、草が焼ける音、虫の声、これから起こる出会いに脳が反応します。
 エントランスを抜け、館長の男性の方に声をかける。「自由に見て良いよ、ただし写真をネットに掲載するときはキャプション付きで」とのこと。館長は何やら忙しそうだ。恐る恐る館内(というか自宅)へ、大きな梁がむき出しになった日本家屋、廊下、部屋内等いたるところに仮面!仮面!仮面!マスクというか、仮面である。一見日本のものが多そうだが一部アフリカやニューギニア等のモノも見える。こ、これは行った人しかわからない...圧倒的すぎる空間...腰抜けそう...。
 展示室は大きく2つ、壁一面に展示されている仮面。仮面が放つエネルギーは後ずさりするほど真っ直ぐ。窓全開で開放的な展示室だけどなんだかすごく息苦しいほど...笑 魚卵や肝を食べ過ぎたときに感じるあのしんどさに似ている... パワーを感じすぎたときのアレね。
廊下には草木染や骨董品等
 館長が忙しかったのは台風に備えた準備のためだった。館内には庭があり、そこで火を焚き、染色をしたりしているらしい。原始的な生活の一面。
 その後、ひと段落した館長としばしおしゃべり。大分でアート関係の仕事に携わった後、仮面研究のため15年ほど前にここ宮崎に移り住んだらしい。その後はネットで仮面や生活のことを発信しているよう。自然に関しての知識や、日本人がかつて営んでいた生活技術(草木染、狩猟など)を活かし平成の世にうまく適応させているように感じた。忘れてきたものがたくさんあるんやなぁ...としみじみ。
アフリカの仮面と日本の仮面の違い、神楽のおもしろさ等を伺い、この秋には神楽を見に行こうと心に決める。現役の仮面たちと天地創造の物語を見に行こう!!
話は尽きないが、一旦美術館を後に。美術館がある一帯は児童福祉の父、と呼ばれる石井十次という人がかつて孤児院を開校していた場所。約100年ほど前に孤児院とは...人柄と問題意識の高さが伺える...。石井さんはキリストの洗礼を受けており、その一帯には教会などもあり、なんだかおとぎの国の村のような雰囲気なのです。少し散策。
このような家が点在している。
 家々は離れていて、通ずる道は木漏れ日の射す小道ばかり。きっちり手入れされている証拠だと思う。
 そして教会へ。先ほどの館長が管理しているのか「入って右に電気あるから勝手に付けて」とのこと。というかこの教会の佇まい...そしてこの一帯...やはり「特別な」ものを感じざる負えない。手の届く範囲に幸せはあるのかもしれない...笑 モノとか便利とかではない、内に内に入っていく感じ。しまいには裏返ってしまいそう。
 教会内。今はギャラリーとして使用されている。奥の壁面は女性の象徴!?を感じる。とにかくやわらかで心地のいい空間。
 もちろん、聖母も。クラシカルなマリア...かつてマリア像を収集していたことがあったけど、行きつく処はここなのかも。やっぱり本物に勝るものなし、本物は思いや歴史が違う。
もっとゆっくりしたかったが今日は日曜日。なんだか1日分の栄養を大幅に超える量を摂取した気持ち...帰ってゆっくりしようと早めの帰宅。転勤してこないと、こんな場所がまさかあるとは一生知らなかっただろう。そしてこんな場所が日本、世界にはまだまだたくさんあると思う。たぶん、何か縁があって宮崎にたどり着いたんだろうけど、これからもっともっとたくさんの歴史を学び、そして経験していきたいなと夕涼みでビールを飲みながら思うのでした。

九州民俗仮面美術館 HP
0983-41-1281 宮崎県西都市穂北5248-13  入館無料

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